前回まで:
(1)
凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明①
(2)
凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明②
(3)
凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明③
(4)
凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明④
(5)
凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明⑤
(6)
凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明⑥
この記事は「
1.定義
2.準備
3.証明
関数
が成り立つことをいう。
関数
今回は次の定理を示すことを目標とする。
凸関数
凸関数の基本的な性質と定理1の証明に必要な命題などを確認する。
凸関数
と定める。このとき
が成り立つことを示せば良い。
である。これを2通りで以下のように変形する。
1つ目の不等式の両辺を
凸関数
となる。
任意の
である。よって
関数
によって
となる。
証明は 凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明⑤ を参照。
単調増加関数
証明は 凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明⑥ を参照。
によって
となり、
が成り立つのでこれは正しい。よって定理5より
となる
となるので、
証明終わり。
以上により実数を変数にもつ凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることが証明された。この事実が実際に役に立つことは少ないかもしれないが、証明に使われた手法や事実(Lebesgueの微分定理や、Lipschitz連続な関数や単調関数がa.e.で微分可能であること)は非常に有用であるように思われる。