いくつかの記事に散在していたもの(に多少手を加えたもの)を一箇所にまとめました.
準備
射影公式
を集合としを写像とする.このとき任意のに対して
が成り立つ.
- とする.このときであってとなるものが存在する.よりであり,よりが成り立つ.よってを得る.
- とする.このときであってとなるものが存在する.よりとなるので,と合わせてを得る.
余順像
を集合としを写像とする.このときの余順像
とについて
が成り立つ.とくに
が成り立つ.
余順像については
こちらの記事
に詳しい.
Generalized Tube Lemma
を位相空間,をコンパクト集合とする.このときの任意の開近傍に対して,の開近傍との開近傍であってとなるものが存在する.とくに
は開集合である.
- 任意のに対して,であってとなるものが存在する.
- 各に対して,はコンパクト集合の開被覆であるから,であって
となるものが存在する. - そこで
とおく.
- このとき,はコンパクト集合の開被覆であるから,であって
となるものが存在する. - そこで
とおくと,
が成り立つ.
閉写像
を位相空間としを写像とする.任意の閉集合に対してが閉集合であるとき,を閉写像(closed map)という.
特徴づけ
閉包による
次は同値である:
- は閉写像である;
- 任意のに対して,
が成り立つ.
(i)(ii)
と閉包の定義(或いは特徴づけ)より
が成り立つ.
(ii)(i)
が閉集合ならば
が成り立つ.
余順像による
次は同値である:
- は閉写像である;
- 任意の開集合に対して,は開集合である.
``Tube Lemma'' による
次は同値である:
- は閉写像である;
- 任意のとに対して,であってとなるものが存在する;
- 任意のとに対して,であってとなるものが存在する.
(i)(ii)
とおくと,
(ii)(iii)
明らか.
(iii)(i)
とする.このときとなることを示せばよい.そこでとする.このときとなるので,仮定よりであってとなるものが存在する.よって
が成り立つ.
命題6の
を位相空間,をコンパクト空間とする.このときへの射影は閉写像である.
とする.このとき
とのコンパクト性より,であって
となるものが存在する(
補題3
).よっては閉写像である.
合成・制限・積
閉写像の合成
を位相空間,を写像とする.このとき次が成り立つ:
- が閉写像ならば,も閉写像である;
- が全射連続写像であってが閉写像ならば,は閉写像である;
- が単射連続写像であってが閉写像ならば,は閉写像である.
- 明らか.
- を閉集合とする.仮定よりは閉集合であるから,
は閉集合である. - を閉集合とする.仮定よりは閉集合であるから,
は閉集合である.
閉写像の制限
を閉写像とする.このとき次が成り立つ:
- 任意の閉集合に対して,は閉写像である.
- 任意の部分集合に対して,は閉写像である.
- を閉集合とすると,は閉集合なので
は閉集合である. - を閉集合とすると,閉集合であってなるものが存在する.したがって
は閉集合である.
を写像としをと整合的な被覆とする.このとき
が成り立つならば,は閉写像である.
を閉集合とする.このとき,任意のに対して
は閉集合なので,は閉集合である.
閉写像の積は閉写像とは限らない.たとえば恒等写像と定値写像は共に閉写像であるが,その積
は閉写像ではない.実際,閉集合
の像は閉集合ではない.
固有写像
を位相空間としを写像とする.任意のコンパクト集合に対してがコンパクトであるとき,を固有写像(proper map)という.
固有写像の合成
を位相空間,を写像とする.このとき次が成り立つ:
- が固有写像ならば,も固有写像である;
- が全射連続写像であってが固有写像ならば,は固有写像である;
- が単射連続写像であってが固有写像ならば,は固有写像である.
- 任意のコンパクト集合に対して,
はコンパクトである. - 任意のコンパクト集合に対して,
はコンパクトである. - 任意のコンパクト集合に対して,
はコンパクトである.
固有写像の制限
を固有写像とする.このとき次が成り立つ:
- 任意の閉集合に対して,は固有写像である.
- 任意の部分集合に対して,は固有写像である.
- 任意のコンパクト集合に対して,
はコンパクト空間の閉集合ゆえコンパクトである. - 任意のコンパクト集合に対して,
はコンパクトである.
を連続写像,をの被覆とする.このとき
- はハウスドルフでありは開被覆である,または
- は局所有限閉被覆であって,
さらに
が成り立つならば,は固有写像である.
- をコンパクト集合とする.はコンパクト集合の開被覆であるから,有限集合であって
となるものが存在する.このとき閉集合であって
となるものが存在する(
別記事:補題23
).仮定より各はコンパクトなので,
はコンパクト集合の有限合併ゆえコンパクトである. - をコンパクト集合とする.このときはコンパクト空間の局所有限(閉)被覆であるから
は有限集合である.各に対してはコンパクト空間の閉集合ゆえコンパクトであるから,
はコンパクト集合の有限合併ゆえコンパクトである.
固有写像の積
ハウスドルフ空間への連続固有写像族の積は固有写像である.
をコンパクト集合とする.各に対して
はコンパクトなので,仮定よりはコンパクトである.したがってTychonoffの定理よりはコンパクトである.一方はハウスドルフ空間のコンパクト集合ゆえ閉集合である.よって
はコンパクト空間の閉集合ゆえコンパクトである.
を距離空間,を連続写像とする.このとき次は同値である:
- は固有写像である;
- 任意の遁走点列に対して,は遁走点列である.
さらに,が固有距離空間であるとき,次は同値である:
- は固有写像である;
- は距離的固有写像である.
を位相空間,をハウスドルフ空間とし,を連続写像とする.このとき次は同値である:
- は固有写像である;
- は連続写像である.
(用語・記号の定義も含めて)証明は
別記事:命題3,命題6,命題13
を参照されたい.
(2024/02/12:遁走点列とは離散空間から距離空間への固有写像にほかならないと気づいた.それで命題14の(ii)は,点列連続のアナロジーで点列固有(写像)といえないこともないなと思い(距離的固有はに対応する.)調べてみたら
論文 (pdf)
があった.)
完全写像
を位相空間としを写像とする.が閉写像であって,任意のに対してがコンパクトであるとき,を完全写像(perfect map)という.
- 単射閉写像は完全写像である.
- コンパクト空間からハウスドルフ空間への連続写像は完全写像である.
- コンパクト空間に沿った射影は完全写像である(
命題6の系
).
固有写像と完全写像
を写像とする.このとき次は同値である:
- は完全写像である;
- は閉写像かつ固有写像である.
(i)(ii)
が固有写像であることを示せばよい.そこでをコンパクトとしを部分集合の開被覆とする.
- とする.仮定よりはコンパクトなので,有限集合であって
が成り立つものが存在する. - そこで
とおくと,が閉写像であることから
であり,さらに
が成り立つ(
補題2
).
いまはコンパクト集合の開被覆なので,有限個の点であって
となるものが存在する.そこで
とおくと,これは有限集合であり,
が成り立つ.よってはコンパクトである.
(ii)(i)
明らか.
を連続固有写像とする.このときがコンパクト生成ハウスドルフ空間ならば,は完全写像である.
が閉写像であることを示せばよい.そこでを閉集合とする.このとき任意のコンパクト集合に対して
はコンパクト空間の閉集合ゆえコンパクトである.したがって
はハウスドルフ空間のコンパクト集合ゆえ閉集合である.よって
は閉集合である.
合成・制限・積
完全写像の合成
を位相空間,を写像とする.このとき次が成り立つ:
- が完全写像ならば,も完全写像である;
- が全射連続写像であってが完全写像ならば,は完全写像である;
- が単射連続写像であってが完全写像ならば,は完全写像である.
完全写像の制限
を完全写像とする.このとき次が成り立つ:
- 任意の閉集合に対して,は完全写像である.
- 任意の部分集合に対して,は完全写像である.
を写像としをと整合的な被覆とする.このとき
が成り立つならば,は完全写像である.
命題9
よりは閉写像である.また,任意のに対して,なるが取れるので,
はコンパクトである.
任意のに対して,Tychonoffの定理より
はコンパクトである.あとはが閉写像であることを示せばよい.
そこでとする.このとき
Wallaceの定理
より,有限集合と開集合であって
なるものが存在する.いま各に対しては閉写像なので,であって
となるものが存在する(
命題6
).残りのに対してはとおけば
であって,
が成り立つ.よっては閉写像である(
命題6
).
命題17,命題20の
を連続写像,をハウスドルフ空間とする.このときが完全写像ならば,は完全写像である.
連続写像
を考える.がハウスドルフであることから,任意の閉集合に対して,
は閉集合である.したがって単射閉写像は完全写像である.いま
(の右辺)は完全写像なので,の単射連続性よりの完全性がしたがう(
命題17
).
位相的性質の遺伝
Dugundji dugundji のXI章やEngelking engelking に詳しい.
を全射完全写像とする.このとき,がハウスドルフならば,もハウスドルフである.
仮定より対角集合は閉集合である.
命題20
よりは完全写像,とくに閉写像であるから,
は閉集合である.よってはハウスドルフである.
を連続完全写像とする.このとき,がパラコンパクトならば,もパラコンパクトである.
- パラコンパクト空間の閉集合はパラコンパクトなので,は全射であるとしてよい.
- をの開被覆とする.
- 各に対して,はコンパクトなので,有限集合であって
となるものが存在する.いまはとくに閉写像なので,開集合であって
なるものが存在する(
命題6
). - 仮定より,の開被覆の局所有限な1:1開細分が存在する(
別記事:補遺
).
- 以下,がの局所有限開細分であることを示す.
- 細分であることは明らか.
- とすると,であってとなるものが存在する.このとき
より,であってなるものが存在する.したがって
が成り立つ.よってはの開被覆である. - とする.いまは局所有限なので,であって
となるものが存在する.このときの開近傍について,
より
が成り立つ.よっては局所有限である.
パラコンパクト空間とコンパクト空間の直積はパラコンパクトである.
をハウスドルフ空間,を全射連続完全写像とする.このとき次は同値である:
- は局所コンパクト(ハウスドルフ)空間である;
- は局所コンパクトハウスドルフ空間である.
(i)(ii)
-
命題21
よりはハウスドルフ空間である.
- とする.仮定より,各に対して相対コンパクト開近傍が存在する.はコンパクト集合の開被覆であるから,有限個の点であって
となるものが存在する.いまは閉写像なのでであって
となるものが存在する(
命題6
).このについて
が成り立つ(
命題4
).したがってコンパクト空間の閉集合はコンパクトである.
(ii)(i)
とする.仮定よりの相対コンパクト開近傍が存在する.このときであり,
より,コンパクト空間の閉集合はコンパクトである.
Bourbaki固有写像
を位相空間としを写像とする.任意の位相空間に対して,
が閉写像となるとき,をBourbaki固有写像という(ことにする).
を写像とする.このとき次は同値である:
- は完全写像である;
- はBourbaki固有写像である.
補遺:Wallaceの定理
補題3
を任意直積に一般化したものがWallaceの定理である:
を位相空間族としをコンパクト集合とする.このときの任意の開近傍に対して,有限集合と開集合であって
を満たすものが存在する.
補題3
よりが有限集合の場合には定理は成り立つことに注意する.
開基の元に対して
とおく.
各に対してであってなるものが存在する.はコンパクト集合の開被覆であるから,であって
なるものが存在する.そこで
とおく.このとき
が成り立つ.冒頭の注意より,各に対して,であって
を満たすものが存在する.よって,に対してはとおけば,
が成り立つ.
(2024/02/13:「準開基」を「開基」に修正しました.)