初めに
位数100までの群を, 同型を除き全て求めます. 分割して投稿予定です. この記事では分類の中で使う定理や諸注意をまとめています.
リンク集(記事追加に合わせこちらにも追加します)
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位数の群
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位数の群
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位数の群
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位数の群
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位数の群
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位数の群
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位数の群
- 位数の群
- 位数の群
- 位数の群
- 位数の群
- 位数の群
- 位数の群
諸注意
- (特に上にある記事は, 参考にしたものがないので)誤りや冗長な議論が含まれている可能性が高いです. 誤りや議論の簡略化を見つけたらコメント欄で指摘してもらえると幸いです.
- 2020/12/24に定理6の大幅な追記, 命題10の追加を行いました.
- 2021/2/23に命題13を追加しました.
用いる定理/定義
以下, と定義する. 群に対し、が部分群であることをで表し,特にのときはで表す.また, 特に注意がなければは有限群, とする.
正規/特性部分群
正規部分群で割ることにより小さな群に帰着できる. この節ではどのような操作によって正規部分群や特性部分群が保たれるか調べる.
群の積
とする.
との少なくとも一方が正規なら, 両方正規ならとなる.
かの片方が正規なら, となり, 両方正規なら任意のとなるので従う.
特性部分群
を と定義する.
この時, はの特性部分群であるという.
特性部分群は, 特に任意の元の共役で閉じているので, 正規部分群でもある.
とし, を任意にとる. このとき, となり, はの元となる. よってとなり.
2番目もほぼ同様.
とし, を任意に取る. このとき, より, が誘導される. このに対し, が成り立つので, .
4番目もほぼ同様.
一般に, 特性部分群から「自然に」群を作る操作をすると, それも特性部分群になります. 例えば, のとき, なども特性部分群になります.
核
核を取ることで(正規とは限らない)部分群から正規部分群を作れる. この節では核の位数を評価する.
とする. このとき, 準同型が存在し, その核はとなる. 特に, はの倍数かつの約数となる.
にをと作用させる. この作用から自然に準同型が誘導される. この準同型のkernelをとすると, . ゆえに, となる.
上の作用は可移なので, はの可移な部分群となる.
また, 上の作用でに対し, が成立するので, である.
シロー群
シロー群の存在は有限群の分類に役立つ. この節では, シロー群とそれに関連した命題を示す.
シロー群
位数の群の位数の部分群をシロー群と定義する. シロー群の個数をとする. (この記法はあまり一般的ではないので注意)
シローの定理
であり, シロー群は全て共役. 特にの位数をとすると, . さらに, 任意のの部分群に対し, あるシロー群が存在し, を満たす.
証明は基本的な群論の本に載っているので省略する.
である. 特に, なら, のシロー群は特性部分群となる.
シロー群の同型での像は再びシロー群となることから明らか.
と置く. この時, 以下の不等式が成り立つ.
ただし、()はを満たすすべての素数に対してのの和を表す.
を素数,とする.以下,冪という言葉は(は 正の整数)と表せる整数を指す.
の位数が冪である元全体の集合をと置く.任意のシロー群に対して,である. また, に留意せよ.
の時, シロー群の共通部分は自明なので, .
なら,上の議論より.
なら相異なるシロー群,をとると,.
これと,を合わせれば上の不等式が従う.
半直積
正規部分群に対して, その補部分群があれば, 元の群はその2つの群の半直積でかける. この節では半直積の基本的な性質, 及びいつ同型になるか求める.
外部半直積
を任意の群とする.が準同型であるとする. ここで, に, 次のように二項演算をいれる:. このとき, は群となり, これをと書く.
群になること
より, 結合法則が確認できる.
が単位元になることは容易に確認できる.
より, の逆元も存在する.
内部半直積と外部半直積の一致
を任意の群とする. と置くと,
逆に
を定義すると,
前半は自明. 後半はに対しを対応させると, これが同型写像になる.
今後, のとき, 上の定理のをと, をと同一視する. よってと書く.
半直積が同型になる条件
からへの同型であり, さらに次の条件を満たすとする.
このとき, が存在し, となる.
逆になら, となる.
が上の条件を満たすとする. となる, からへの準同型, 及びが取れる. すると, となる. よってと置くと, となる.
逆にが条件を満たすとする. とを定義すれば同型となる.
-群
-群は個数が多く, さらにシローの定理が役立たないため, 別途に手段を考える必要がある.
となるようにをとる. を任意にとると, の形に自然数とを用いて書ける. よって,となり, .
を位数がである群とする. このとき, となる, の正規部分群が存在する.
を帰納的に定義する. ならは非自明な-群である. よって, その中心は非自明であり, となるように位数の群, を取れる. より特にとなり, 命題1より.
とする. のへの共役をと書く. とすると, は以下の二つを満たす.
逆に, 群とが上の条件を満たすとする. この時, 群が存在し, となり, のへの共役をとなる. (この群に適切な名前があれば教えてほしいです. . . )
前半の主張は自明. 後半の主張を示す. と置き, となるような最小の同値関係をとする. とし, とすると, これはwell-definedであり, は群となる. そしてとすれば残りの条件も満たす.(詳細は計算すればわかり, また半直積と似た感じなので省略)
群の表示
群の準同型をもとめるさい、群の表示が役に立つ.
を添え字集合とし, とする. このとき,任意のに対しを満たすからへの準同型が存在することと, 任意のに対し, となることは同値である. さらにこの時, からへの準同型は一意に定まる.
一意性はの生成元であることから従う. 任意のに対し, と仮定する. を満たすからへの射が自由群の普遍性から存在し, 仮定よりとなるので, ここから条件を満たすからへの射が誘導できる.
逆にを満たすからへの射があれば, となる.