初めに
位数100までの群を, 同型を除き全て求めます. この記事では位数の群(およびその自己同型群の位数)を求めます. 使う定理は
準備記事
に乗ってるので、分からない場所があれば参照してください.
リンク集(記事追加に合わせこちらにも追加します)
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位数の群
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位数の群
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位数の群
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位数の群
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位数の群
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位数の群
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位数の群
- 位数の群
- 位数の群
- 位数の群
- 位数の群
- 位数の群
- 位数の群
以下は素数とする.
位数
に含まれるなかで最大のの正規部分群をとる.
このとき, 特に. これと, を合わせて, となる.
とくに.
を位数の群とする. の最大位数の元の大きさで場合分けを行う.
が位数の元を含むとき.
.
が位数の元を含むが, 位数の元を含まないとき.
と置く. 上の定理より, . を一つとる.
のとき
有限Abel群の基本定理より, .
のとき
このとき, と置くと, より, . ゆえに, . よって, . をその何乗かで置き換えて, としてよい. (なら, となる)
なので, と書ける. ならが位数となり矛盾. よって, と書ける.
のとき
このときとできる. 実際, , となるので, をに置き換えればよい. よって, なら, . ここで, .
のとき
なら, 上と同様に, , . このとき,
なら, は
準備記事定理12
において, とした群と同型である. これはという名前がついている.
最後に, とが非同型なことを示しておく必要がある. これは, には位数の元が個あるが, には個しかないことから明らか.
が位数の元と位数の元しか持たないとき
準備記事定理11
より, となるがとれる(のでとる). を一つとり, と置く. 仮定より, となるので, が成立する.
よって, となる. (はからへの準同型.)
よって,
準備記事定理9
より, の大きさの部分群を(共役を除いて)求めればよい. それは以下の通り.
前者はに, 後者は(の冪単上三角行列全体)に対応する[1].
最後に, これらの群が位数の元しかもたないことを確かめる必要がある. 前者の群は自明. より, 後者はなら条件を満たす.
まとめ
によらず,
のときは追加で
のときは追加で
があり, 合計個.
自己同型
以下, は位数の群とする.
.
側の生成元を,側の生成元をと置く.
はに忠実に作用するが, この作用でのの軌道をと置く. すると, は 位数の元全体, すなわち(とは互いに素)と書けるもの全体となる. これは個.
そして, のの固定群をとする. のへの自然な作用による, の軌道をと置く. は位数の元での形で書けないもの全体となる. これは個.
群の準同型は生成元の行先で決まるので, のの固定群は自明群. ゆえに, で,
であり, 位数は.
ここで, .
の作用によるの軌道をと置く. このとき, が分かる. とくに
そして, のの固定群をとする. のへの自然な作用による, の軌道をと置く. はと書ける元全体となる. (を保つためには, が一回だけの必要がある)
よって, と同様の議論により, となる.[2]
(とくに, )
の行先が. を固定したときのの行先が.
よって, .
の行先が. を固定したときのの行先が. よって, .
とくに, 自然な射が全射であることに注意せよ.
[1]: を半直積する側の生成元, を半直積される側の生成元とする. , , が群同型を与える ↩ [2]: 実は, である. これは, を頂点とした正面体を考えることで, が自然に正八面体群と同型になることからわかる. (が, 変換が正の向きをたもつ, すなわちに対応する) ↩