1
大学数学基礎解説
文献あり

Steinerシステム - アフィン平面

138
0

  1. Fisher不等式

  2. 自己同型群

  3. アフィン平面

  4. Steinerトリプルシステム

    1. STSの直積


  5. Mathieu群 M11M12

    1. S(2,3,9)の性質

    2. S(3,4,10)の構成


構成したSteinerシステム

(2,3,7) , (2,3,9)NEW
(3,4,8)

Steinerシステムとしてのアフィン平面

証明

(1)(2)
§1-定理1 から
r=k21k1=k+1

(2)(3)
§1-定理3 からb=k2(k21)k(k1)=k(k+1)

(3)(1)
§1-定理3 から
bk=vrk2(k+1)=vv1k1v2vk2(k21)=0(vk2)(v+k21)=0v=k2(v+k2>2)

(2)(4)
B={x1,x2,,xk}とおくと, 組(α,xi)(1ik)は異なるk個のブロックに含まれている. なぜなら, (α,xi)(α,xj)(ij)Bと異なる同じブロックに含まれているとすると, そのブロックは(xi,xj)を含むことになるが, 定義 からこれは矛盾する. したがって, αBk個の異なるブロックに含まれる. いま, r=k+1を仮定していたのだから, これらk個のどのブロックとも異なり, αを含むブロックが一意に定まる. そして, このブロックは明らかにBと共通部分を持たない.

(4)(2)
上と同様の議論から, αBk個の異なるブロックに含まれ, これらのブロックはBと共通部分を持つ. いま, Bとは共通部分を持たないαを含むブロックが一意に定まると仮定したため, αを含むブロックの個数はk+1個である. αを任意に取ったので, r=k+1.

 (1)~(4)の同値な条件を満たすSteinerシステムをアフィン平面と呼ぶ. アフィン平面に関する議論は, Ωの元を平面あるいは空間上の点, Bの元, 即ちブロックを直線だと解釈すると理解の助けとなる. 例えば, (4)の条件
BB,αΩB,!BBs.t.αB,BB=
は, ある直線Bとその直線上にない1点αを選んできたとき, αを通る直線は一意に定まり, なおかつその直線はBと平行であると読み替えられる. これらのことから, 以下ではアフィン平面のブロックを直線と呼ぶことにする.
 無論幾何分野のアフィン空間と関係はあるが, ここではアフィン平面はあくまでSteinerシステムの特殊な場合であって, 簡単な集合論の言葉で完結する.

平行類

証明

(1)(2)
Pを以下のように構成する.
B0Bα1ΩB0を取ると, 定理1からα1B1,B0B1=を満たすB1Bが一意に存在する. 和i=01Biに関して帰納法を用いる.
l2に対して, i=0lBiが存在すると仮定する.
i=0lBiΩとすると, 定理1からαl+1Ωi=0lBiが取れ, αl+1Bl+1,BiBl+1=を満たすBl+1Bが一意に存在する.
ゆえに, i=0l+1Biが存在する.
i=0lBi=Ωであれば, Bi,Bji=0l,BiBj=であるから
i=0l|Bi|=|Ω|k(l+1)=k2l=k1
よりPk本の直線を持つ.

(3)
直線と類BPに対して, BBを満たすBPが存在すると仮定する.
上の議論から類Pはすべての元を過不足なく含んでいるため, Ωの元をひとつ決めれば, Pの中の直線でその元を含むものが一意に定まる. xBに対して, xを含むPの直線をBxとすると, B,BxPよりBBx=.
xBに対して, xを含む直線が一意に定まったのだから, Bx=B.
しかし, これはBPに反するため, BB=.


例. 位数3のアフィン平面


 S=S(2,k,k2)がアフィン平面のとき, kを位数という.
t<k<vの仮定 の下では最小のアフィン平面であるS(2,3,9)は次のように構成できる.
{(xc,x,x+c)(c=1,2,4,x=1,4,7)(1+c,4+c,7+c)(c=0,1,2)
cの値が平行類の分割を表していて, aaを9で割った余りである. 明示的に書けば,
(0,1,2)=(9,1,2)(c=1,x=1)(3,4,5)=(3,4,5)(c=1,x=4)(6,7,8)=(6,7,8)(c=1,x=7)(1,1,3)=(8,1,3)(c=2,x=1)(2,4,6)=(2,4,6)(c=2,x=4)(5,7,9)=(5,7,9)(c=2,x=7)(3,1,5)=(6,1,5)(c=4,x=1)(0,4,8)=(9,4,8)(c=4,x=4)(3,7,11)=(3,7,2)(c=4,x=7)(1,4,7)=(1,4,7)(c=0)(2,5,8)=(2,5,8)(c=1)(3,6,9)=(3,6,9)(c=2)
ただし, 9:=0としている. これは9次完全グラフK9における三角形の分割と解釈できる.

辺彩色により平行類を分割している 辺彩色により平行類を分割している

基本的な性質

Sを位数kのアフィン平面とする. このとき, 同一直線上にない3点を三角形, どの3点も同一直線上にない4点を四角形と呼び, 以下が成り立つ.
(1) 三角形の個数は16k(k+1)(k4k32k2+2k6)
(2) 四角形の個数は124k2(k21)(k46k2+5k24)
(3) 一つの四角形に4つの三角形が含まれる
(4) ある三角形はk23k+3個の四角形に含まれている

証明

(1)
k2個の点から3点を選ぶが, 同じ直線上に含まれている3つ組は除くため
(k23)k(k+1)=16k(k+1)(k4k32k2+2k6)
(2)
k2個の点から4点を選ぶが, 同じ直線上に含まれている4つ組, 直線上の3つ組と他の1点からなる4点は除くため
(k24)(k4)k(k+1)k(k+1)(k2k)=124k2(k21)(k46k2+5k24)
(3)
四角形はどの3点も同一直線上にない4点から構成されているため, 4点から3点を任意に選べば三角形が得られる. よって, ある四角形に三角形は4つ含まれる.
(4)
三角形を取り, 他の1点を選んで4点を構成する方法はk23通り.
しかし, 他の1点が三角形上の2点と同一直線上にあってはならないという制約が加わるため, ある三角形を含む四角形の個数は
k233(k2)=k23k+3

参考文献

投稿日:420
更新日:12日前
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

有限群論 好きな群は6次対称群

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. Steinerシステムとしてのアフィン平面
  2. 平行類
  3. 例. 位数3のアフィン平面
  4. 基本的な性質
  5. 参考文献