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フィッシャー不等式
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算術三角形
- 自己同型群
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アフィン平面
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相互直交ラテン方格
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シュタイナー三重系
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STSの直積
- マシュー群 と
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S(2,3,9)の性質
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S(3,4,10)の構成
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と
- 射影平面
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ブルック-ライサーの定理
- シュタイナー四重系
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正測体とSQS
本筋から逸れる証明は折畳んでいる場合があるが, クリックで開くことができる.
今後, 散在型のマシュー群をシュタイナーシステムの自己同型群として定義するが, そのための準備としていくつかの定理を証明する. 加えて, をファノ平面から構成し, 両者の自己同型群が同型であることを示す.
縮小と拡大
[i] 明らかには点集合.
[ii] のブロックからを含むものを取り, そこからを取り除いたものがであるから, .
[iii] あるの元部分集合をとする. はシュタイナーシステムであるから, を含むブロックが存在して一意である. はと一意に分解でき,
任意のシュタイナーシステムで縮小は存在するが, 拡大が存在するとは限らない.
が存在するための必要条件はが存在することであるとも換言できる.
例.
のブロックは以下のように表せた.
左上の空白マスをとし, による一点拡大を考えると, 自明なブロックとして
が取れるが, 実は黒マスのブロックと黒マスの補集合を合わせればのブロックを網羅できている. また, は次のようにも構成できる.
に対して
を仮定すると,
と矛盾するため, . 同様に.
したがって, 任意の3つ組に対してが存在して, これは一意である.
要は, Fig1. のような立方体で平行な辺同士を選択すれば, のブロックが得られるということである.
Fig1. 有限体上の立方体であることに注意シュタイナーシステムの自己同型群
部分群の条件と作用の公理を確認すればよいため, 省略.
例. ファノ平面
ファノ平面
に対して, はそれぞれのブロックを
と動かすため, .
他方, は
より
縮小の構造
シュタイナーシステムにおいて, 縮小と自己同型を取る操作は可換である. ただし, 自己同型群の縮小とは1点を固定して安定化群を得る操作のことで, 厳密には次が成り立つ.
シュタイナーシステムからを取ったとき, .
ただし,
とする.
はに作用するため, によって定まる写像
は全単射である.
を
によって定め, これが全単射準同型であることを示す.
(全射性) 任意の
に対して, 縮小の定義から
が存在する.
(単射性), に対して, とすると, であるから,
よって,
(準同型)
より.
拡大の構造
安定化群はの部分群であるから, 埋込が存在する. また, 定理2からは同型射である.
以上から, 次の図式を可換にする単射が存在する.
は安定化群の埋込であるから, に対して, .
(必要であること)が同型射だと措定したため, に対して
に対して, なるが存在すると仮定すると,
となり, と矛盾するため, はのブロックをのブロックに移す.
(十分であること)
が全射準同型であることを確認すればよいため, 省略.
実用上は定理2の十分条件が重要で, 系からの判定に要する計算量が大幅に減る.
例. ファノ平面の1点拡大
ファノ平面の1点拡大について, ブロックを列挙すると,
この中で拡大により追加されたブロックは
の7つである. ファノ平面の自己同型群はの2元生成であるから, 回の計算でとが同型かどうか判別できる. 実際, 生成元は追加されたブロックを外に移さないことから,
が成り立つ.