- Fisher不等式
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自己同型群
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アフィン平面
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Steinerトリプルシステム
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STSの直積
- Mathieu群 と
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S(2,3,9)の性質
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S(3,4,10)の構成
構成したSteinerシステム
(2,3,7)NEW
定義
Steinerシステム
点集合とその部分集合族の組であって, 条件
- 任意のに対して,
- の任意の元を取ったとき, となるが存在して一意
を満たすものをSteinerシステムと呼び, のように表記する.
の元をブロックといい, 以下ではを仮定する.
すぐに明らかになることだが, Steinerシステムに関するいくつかのパラメータはによって表されるため, この3組を明示する.
例
定義に従ってを構成する.
構成法1.
として, 起点となる3つ組をとする. の組を網羅するために, とを取る. 次にの組を入れるために, の組み合わせが重複しないようにを取る. 同様にしてを取れば,
と組み上げられる.
構成法2.
を2つの組に分ける方法はの3通り.
各々をと組み合わせれば,
となり, 最後にを付け足せば同様の結果が得られる.
構成法3.
の場合, Fano平面と呼ばれる図形で可視化ができる.
線分も円も広義での直線と捉えれば, 直線がブロックを成していて, Steinerシステムの定義も満足していることが確認できる.
基本的な性質
一般のSteinerシステムの性質をいくつか見た後, ブロックの個数との関係式を導く.
において, を含むような元の選び方は通り.
において, を含むブロックとしてを取る. の個の元からを含むような元の選び方は通り.
いま, を含むブロックの個数をとしているのだから, を含む元の選び方は通り.
したがって,
これは以下のように一般化できる.
をSteinerシステムとする. として, のある元部分集合を含むブロックの個数は.
ブロックの個数との関係式を導く.
として, を満たすような組の個数を求める.
[i] ブロックの選び方は通り. ブロックの位数はであるから, 選んだブロックに含まれている元の選び方は通り.
したがって, .
[ii] の元の選び方は通り. ある元を含むブロックの個数をとしたため, .
以上より,.
から,
Fisher不等式
Steinerシステムの接続行列を導入する.
接続行列
でをSteinerシステムとする. の接続行列とは, 各成分が
によって定義された行列である.
接続行列を利用すれば, ブロックデザインの基礎的な関係式であるFisher不等式を導出できる.
の接続行列を, のある元を含むブロックの個数を, ある2元部分集合を含むブロックの個数をとして, 次正方行列を考える.
は, の行同士の内積を取っていると捉えられるため,
と書ける.
の行列式に関して,
から
よって,
行列の階数は積によって広義に減少することから.
一方, は行列であるため, .
以上より.
の形をしたSteinerシステムのことを特に(有限)射影平面と呼び, を位数という. Fano平面は位数が最小の射影平面である.