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フィッシャー不等式
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算術三角形
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自己同型群と拡大・縮小
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アフィン平面
- 相互直交ラテン方格
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シュタイナー三重系
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STSの直積
- マシュー群 と
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の性質
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の構成
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と
構成したシュタイナーシステム
(2,3,7)
,
(2,3,9)
(2,4,16)NEW, (2,5,25)NEW
(3,4,8)
本筋から逸れる証明は折畳んでいる場合があるが, クリックで開くことができる.
導入
行目をに固定すると, ラテン方格は2通りしかない.
成分に入るのはまたはで
ここまで書くと, 残りは数独の要領で確定する.
このように行目を"自然な"順序で固定したラテン方格を標準形と呼ぶ.
これら2つのラテン方格には興味深い性質がある.
これは2つのラテン方格を重ねて, 順序対を取ったもので, 左の成分のみを見るとが, 右の成分のみを見るとが見て取れる.
の順序対は通りあるが, そのすべてがに過不足なく現れていることがすぐに確認できる.
また
と
を見比べて, において成分がであるマスをから切り取ると, が, 同様に成分がのマスからはそれぞれが得られる.
からも同様にして, 同じ成分の場所をから切り抜くと, が得られる.
また, の行目の数字は, 行目の数字はそれぞれで, 列目の数字はであり, 以上で掘り出した個の3つ組
は位数のアフィン平面をなしている.
上記の性質を持つようなラテン方格を記述するため, ラテン方格の直交なるものを導入する.
定義と構成
ラテン方格の直交とMOLS
をの異なるラテン方格, をそれぞれの成分としたとき, 順序対が各に対してすべて異なっているとき, とは直交しているという.
個のラテン方格の集合に関して, 任意の2つのラテン方格が直交しているとき, をMOLS (Mutually Orthogonal Latin Squares)または相互直交ラテン方格と呼び, と表記する.
次はほとんど明らか.
標準形MOLSであるから, すべてのの行目はだと考えてよい. よって, のどのラテン方格も成分には以外が入り, に対して, だとすると,
となり, とが直交していることに矛盾する. したがって, のラテン方格の成分にはすべて異なる数字が入るため, .
MOLSの完全集合
上の定理で等号が成り立つ, 即ちのことをの完全集合と呼ぶことがある.
位数が素冪のMOLSの完全集合
を素冪, を有限体とすると, に対して
と定められる集合はの完全集合をなす.
[i] (各に対してがラテン方格であること)
各行の成分がすべて異なることは明らか.
各列について, は位数の巡回群であるから, 成分はすべて異なる.
[ii] (MOLSであること)
に対して, とすると
より.
よって, となり, とは直交する.
例. と
として, 1行目をで固定すると
であるから
となる.
であるから, 1行目のを横にスライドしていくと, MOLSが得られる.
左に一つスライドして,
左に二つスライドして,
以下同様に
という具合で, が得られる.
MOLSとアフィン平面
位数のアフィン平面が存在するための必要十分条件は, の完全集合が存在することである.
(必要)の個の平行類を, これらに含まれる直線を
とする.
が成り立つことから,
は全単射である. よって, 平行類に対して,
と定めれば, はラテン方格である.
他の平行類に対しても同様にラテン方格が構成でき, 結果的に含め個のラテン方格が組み上がる. 後はこれらが互いに直交していることを確認すればよい.
平行類から構成されたラテン方格について,
がを通るとする. 任意の2直線は
2点以上交点を持てない
ため, を通るようなは存在しない. したがって,
が成り立ち, 個のラテン方格はMOLSの完全集合をなす.
(十分)
必要条件の議論を逆に辿ればよい.
例. と
同じ色のセルを選択すれば, ブロックが得られる.