三角形演算子を連続に！！

前回までのあらすじ

前回→ 絡分で三角形演算子を連続にする

俺の名前は尼玖内夏法（あまくない なっぽう）

ひょんなことから三角形演算子という総和と総乗を組み合わせた計算を見つけた
その裏で調べていた絡分という連続な総乗の演算を組み合わせることで、連続化できることに気がついた

しかし、喜んだのもつかの間！
定義式に間違いを発見した俺は再び記事を書くことに――

※三角形演算子と絡分に関する過去の情報は以下を参照してね。

ということで

今回は連続三角演算子についての続編(?)です。
流れとしては、

1. 前回の定義式を修正
2. 修正した式の挙動を例を用いて確認
3. 新しいアプローチを試す

という感じで、三角形演算子の連続な場合を考えていきたいと思います。

定義式の修正

早速前回の定義式を修正しましょう！

以下が前回定義した式です。

$$\begin{array}{rcl}{}^k\underset{x\in [a,b]}{\stackrel{}{\mathrm{△}}}f(x)& :=& {\int }_a^b\exp ({\int }_a^x\ln f(t)dt+{\int }_{x+(b-a)-k}^b\ln f(t)dt)dx\end{array}$$

なんですが、多分色々と間違っていて

$$\begin{array}{rcl}{}^k\underset{x\in [a,b]}{\stackrel{}{\mathrm{△}}}f(x)& :=& {\int }_a^{b-k}\exp ({\int }_x^{x+k}\ln f(t)dt)dx+{\int }_{b-k}^b\exp ({\int }_a^{a+k-(b-x)}\ln f(t)dt)\exp ({\int }_x^b\ln f(t)dt)dx\end{array}$$

が正しいです（多分）
項数は増えましたが、やることは前回と同じく絡分して積分するだけですね（できるとは言っていない）

例

$f(x)=c$の場合

$$\begin{array}{rcl}{}^k\underset{x\in [0,b]}{\stackrel{}{\mathrm{△}}}c& =& {\int }_0^{b-k}\exp ({\int }_x^{x+k}\ln cdt)dx+{\int }_{b-k}^b\exp ({\int }_a^{a+k-(b-x)}\ln cdt)\exp ({\int }_x^b\ln cdt)dx\\ & =& {\int }_0^{b-k}\exp (\ln c[t{]}_x^{x+k})dx+{\int }_{b-k}^b\exp (\ln c[t{]}_0^{k-(b-x)})\exp (\ln c[t{]}_x^b)dx\\ & =& {\int }_0^{b-k}{c}^{k}dx+{\int }_{b-k}^b{c}^{k-(b-x)+b-x}dx\\ & =& (b-k)c^k+k{c}^k\\ & =& b{c}^k\end{array}$$

${}^k\underset{x=1}{\stackrel{n}{\mathrm{△}}}c=n{c}^k$だったので、一致してますね。

$f(x)=x$の場合

$$\begin{array}{rcl}{}^k\underset{x\in [a,b]}{\stackrel{}{\mathrm{△}}}x& =& {\int }_a^{b-k}\exp ({\int }_x^{x+k}\ln tdt)dx+{\int }_{b-k}^b\exp ({\int }_a^{a+k-(b-x)}\ln tdt)\exp ({\int }_x^b\ln tdt)dx\\ & =& {\int }_a^{b-k}\exp ([t\ln t-t{]}_x^{x+k})dx+{\int }_{b-k}^b\exp ([t\ln t-t{]}_a^{a+k-(b-x)})\exp ([t\ln t-t{]}_x^b)dx\\ =\cdots & =& \frac{1}{e^k}{\int }_a^{b-k}\frac{(x+k{)}^{x+k}}{x^x}dx+\frac{b^b}{e^k{a}^a}{\int }_{b-k}^b\frac{(x-(b-a)+k{)}^{x-(b-a)+k}}{x^x}dx\end{array}$$

これは一般には解けませんが、ここで、

$$\underset{a\to 0}{lim}\underset{k\to x}{lim}{}^k\underset{x\in [a,b]}{\stackrel{}{\mathrm{△}}}x$$

を考えると、うまく評価できる気がします。
※というのも、離散版の場合における${}^{}\underset{i=1}{\stackrel{n}{\mathrm{△}}}i$に対応するため。

$$\begin{array}{rcl}\underset{a\to 0}{lim}\underset{k\to b}{lim}{}^k\underset{x\in [a,b]}{\stackrel{}{\mathrm{△}}}x& =& \underset{a\to 0}{lim}\underset{k\to b}{lim}(\frac{1}{e^k}{\int }_a^{b-k}\frac{(x+k{)}^{x+k}}{x^x}dx+\frac{b^b}{e^k{a}^a}{\int }_{b-k}^b\frac{(x-(b-a)+k{)}^{x-(b-a)+k}}{x^x}dx)\\ & =& {\left(\frac{b}{e}\right)}^b\cdot \underset{a\to 0}{lim}{a}^{-a}\cdot {\int }_0^{b}dx\end{array}$$

ここで $\underset{a\to 0}{lim}{a}^{-a}=1$を採用すれば

$$\begin{array}{rcl}\underset{a\to 0}{lim}\underset{k\to b}{lim}{}^k\underset{x\in [a,b]}{\stackrel{}{\mathrm{△}}}x& =& b{\left(\frac{b}{e}\right)}^b\end{array}$$

と、簡単になりましたね。
これは${}^{}\underset{i=1}{\stackrel{n}{\mathrm{△}}}i=n!\underset{i=1}{\sum ^n}\frac{1}{i}$であることと、$x$の絡分(乗法的積分)が$(x/e{)}^x$だったことを見る限り、まあまあ一致していると言えそうです ← 本当にそうか？

もう一つの方法

上記の方法とは独立して、$k=n-1$の場合の性質を利用して別の連続化が可能な気がします。

離散な三角形演算子には以下のような性質があります。
$${}^{}\underset{i=1}{\stackrel{n}{\mathrm{△}}}{a}_i=\underset{i=1}{\prod ^n}{a}_i\underset{i=1}{\sum ^n}\frac{1}{a_i}$$
ただし$a_i\ne 0$

これをそのまま連続版に置き換えると、

$${}^{}\underset{x\in [a,b]}{\stackrel{}{\mathrm{△}}}f(x)=\exp ({\int }_a^b\ln f(x)dx)\cdot {\int }_a^b\frac{1}{f(x)}dx$$

こうなりますね。

試しにこれを利用して$f(x)=c$の場合を考えると

$${}^{}\underset{x\in [0,b]}{\stackrel{}{\mathrm{△}}}c=b{c}^{b-1}$$

という感じで、この場合にも離散な場合に一致している感じがします。

おわり！

今回は以下の2つの方法で連続な三角形演算子を定義しました。

どちらもそれっぽくなりましたね🤗

また何かわかれば記事にするかもしれません。
誤り等あればぜひコメント下さい。

おわり！