層とその導来圏について解説します.前層・層の定義から始めて層のアーベル圏と層係数コホモロジーについて述べ,それらの利点を解説します.またコホモロジー函手の抽象化である導来函手についても説明します.次に層に対する様々な演算を導入してそれらの性質を見ます.導来圏のインフォーマルな説明の後,導来圏の枠組みを層理論に用いると何が得られるかを詳しく解説します.特に,Poincaré双対性の一般化である上付きびっくりの存在について詳しく述べます.最後に層の導来圏を通してホモロジーや特性類がどのように解釈されるかを見ます.